アフリカ北部のヒツジであるバーバリシープはどんな動物?特徴、生態、生息地について解説します。あごひげや皮下線がないことが最大の特徴でヒツジのようにも見えますし、ヤギのようにも見えるようなとても変わった動物です。この動物は絶滅危惧種に指定されており危機的な状況にあります。
バーバリシープとは? 基本ステータスについて
バーバリーシープは、哺乳綱ウシ目ウシ科バーバリシープ属に分類される偶蹄類。英語名はBarbary Sheep、Aoudad。学名はAmmotragus lervia。体長は130~190cm、体重は50~140kg、尾長は15-25㎝になります。情報の一覧は以下の通り。
| Japanese(和名) | バーバリシープ |
| English(英名) | Barbary Sheep Aoudad |
| scientific name(学名) | Ammotragus lervia |
| classification(分類) | Mammalia、Artiodactyla、 Bovidae、Ammotragus 哺乳綱、ウシ目、ウシ科、バーバリシープ属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 130~190cm |
| Weight(体重) | 50~140kg |
バーバリーシープの分類学
- 界 (Kingdom): 動物界 (Animalia)
- 門 (Phylum): 脊索動物門 (Chordata)
- 綱 (Class): 哺乳綱 (Mammalia)
- 目 (Order): 偶蹄目 (Artiodactyla)
- 科 (Family): ウシ科 (Bovidae)
- 亜科 (Subfamily): ヤギ亜科 (Caprinae)
- 属 (Genus): バーバリーシープ属 (Ammotragus)
- この属にはバーバリーシープ1種のみ(単型属)
- 種 (Species): バーバリーシープ (Ammotragus lervia)
生息地について
バーバリーシープの野生はモロッコ、リビア、エジプト、スーダンなどアフリカの北部に分布しています。
1. 自然分布
- 原産地:北アフリカ
- 主な国・地域:
- アルジェリア
- チュニジア
- モロッコ
- リビア
- エジプト西部
- 生息地の特徴:
- 山岳地帯や岩場
- 乾燥した砂漠周辺の岩礫地
- 標高は 海抜200〜2,600メートル 程度
2. 人工導入地域
- 北アメリカ(アメリカ合衆国南西部、テキサス州、カリフォルニア州など)
- ヨーロッパ(スペインなど)
- 生息地は乾燥した岩場や丘陵で、野生化して定着している
3. 生息環境の特徴
- 乾燥地や半砂漠地帯に適応
- 岩場・崖・急斜面を移動しやすい体型
- 草や低木を食べる草食性で、水の少ない環境でも生きられる
- 天敵から逃れるため、岩場や断崖を素早く登る能力がある
特徴は?どんな感じの生物なのか?
バーバリーシープは全身は硬く短い体毛で被われており胸部、前肢にかけての体毛は伸び続けます。尾は扁平で、背面の色彩は赤褐色や灰褐色。オス、メスともに後方から外側、下方へ湾曲した角があります。耳介は小型で細長いです。標高950m以下の砂漠地帯を好んで生息しています。日中は岩の洞や岩陰などで暑さを避けて過ごし、早朝や夕方などから採食に出かけるというライフスタイルです。
1. 外見・身体的特徴
- 体長:オス 110〜140 cm、メス 95〜125 cm
- 肩高:約 70〜100 cm
- 体重:オス 45〜100 kg、メス 35〜60 kg
- 毛色:赤褐色〜黄褐色
- 冬はやや濃くなり、胸から腹にかけて淡い色
- 角:
- オス・メスともに角を持つが、オスの角が大きい
- カーブして後ろに向かい、長さは 50〜100 cm に達する
- たてがみ:オスは首や胸にたてがみ状の長い毛が生える
2. 生態的特徴
- 草食性:草、葉、低木、果実などを食べる
- 乾燥環境適応:少ない水で生きられる
- 水がない場合は、草や葉から水分を摂取
- 運動能力:
- 岩場や急斜面を軽やかに登る
- 天敵や捕食者から逃れるのに適応
3. 行動・性格
- 群れで生活する(10〜20頭程度が一般的)
- オスは群れを率いることがある
- 成熟したオスは単独行動や小規模群れになることも
- 日中活動することが多い(昼行性)
- 警戒心が強く、危険を感じると岩場に逃げる
4. 特徴的な印象
- **「岩山のヤギ」**という感じ
- 頑丈で筋肉質、岩場や乾燥地に完全適応
- 見た目はヤギと羊の中間のような印象で、角が大きく立派

性格はどんな感じなのか?
バーバリーシープは社会性が強い動物で1頭のオスと3-6頭のメスからなる群れを形成し生活しています。しかし繁殖期になるとメスを巡ってオス同士がけんかをします。角をつき合わせるだけでなく、絡ませて争うこともするためかなり激しい戦いになります。
1. 群れでの性格
- 群れ生活を基本とする草食動物
- 10〜20頭ほどの群れを作ることが多い
- 群れ内で社会的な秩序がある
- 成熟オスが群れを率いることもある
- メスは群れ内で比較的安定した関係を持つ
2. 警戒心・防衛性
- 非常に警戒心が強い
- 危険を察知すると岩場や断崖に逃げる
- 捕食者(ライオンやジャッカル、ヒョウなど)を警戒
- オス同士は縄張りや群れの支配権を巡って争うことがある
- 非常に俊敏で、危険を感じると岩場を駆け上がる
3. 社会性・性格の特徴
- 群れの中では協調性がある
- 群れを形成することで天敵からのリスクを減らす
- 個体としては慎重で警戒心が強く臆病
- 飼育下では人に慣れることもあるが、野生ではほとんど接触を避ける
4. オスとメスの違い
- オス:
- より攻撃的で縄張り意識が強い
- 群れ内で優位を争うことがある
- メス:
- 社会的で群れに協調する傾向
- 子育て中は保護本能が強い
生態はどうなっているのか?
バーバリーシープは草や木の葉、果実などを食べて生活をします。繁殖形態は胎生。妊娠期間は150日あり、1回につき1頭産むことができます。生後1年6か月で性成熟し、寿命は15年から25年になります。
1. 行動パターン
- 昼行性(昼間活動する)
- 群れで生活
- 群れは 10〜20頭程度が一般的
- 成熟オスは群れを率いたり、単独で行動することもある
- 岩場や断崖を駆け上がる能力に優れ、危険時は逃げやすい
2. 食性
- 完全な草食性
- 主な食物:
- 草、葉、低木、果実、樹皮
- 乾燥地に適応しており、水がなくても植物から水分を摂取可能
- 食事中は警戒心を持ちつつ周囲を観察
3. 繁殖
- 発情期:秋(9〜11月)
- 妊娠期間:約 160〜165日
- 出産時期:春(3〜5月)
- 出産数:1〜2頭(稀に3頭)
- 子どもは母親と群れに守られ、成長する
- 成熟:
- メス:2歳前後で性成熟
- オス:3歳前後で性成熟
4. 社会構造
- 群れはオス群れ・メス群れ・混合群れに分かれることもある
- 群れの中では順位や役割がある
- 成熟オスが群れの支配権を持つ
- メスは協調的で、子育てを中心に群れの維持に関与
- 群れ内のコミュニケーション:
- 体の姿勢や角の使い方で順位を示す
- 警戒や危険の共有も行う
5. 適応・生存戦略
- 岩場や乾燥地に強い足腰と登攀能力
- 厳しい乾燥環境に適応した効率的な水分摂取
- 群れでの行動により、捕食者から身を守る
天敵はいるのか?
バーバリーシープはカラカルやヒョウなどが天敵に当たります。

バーバリシープの幼獣について
バーバリーシープ (Ammotragus lervia) の幼獣について詳しく整理します。誕生から独立までの成長過程や特徴が中心です。
1. 誕生・体重・見た目
- 出産時期:春(3〜5月)
- 出産数:1〜2頭(まれに3頭)
- 体重:生まれた直後は約 2〜4 kg
- 体長:約 30〜40 cm
- 毛色:淡い黄褐色で、大人のような角はまだない
- 視覚・聴覚:生まれてすぐに視覚はほぼ開いているが、行動は母親に依存
2. 幼獣の成長・行動
- 生後数週間:母親のそばで過ごす
- 母乳を飲み、巣穴や岩場で安全を確保
- 生後1〜2か月:群れに慣れ、短い距離を歩く
- 小さな岩や斜面を登る練習を開始
- 生後3〜6か月:母親の動きを観察して食べ物の摂取や危険回避の方法を学ぶ
- 草や葉を食べる練習もこの時期に開始
3. 狩猟・採食能力の習得
- 草食動物なので「狩猟」はしないが、植物を探して食べる技能を母親から学ぶ
- 水分摂取や乾燥地での生存技術も母親から間接的に習得
4. 社会性の学習
- 群れでの順位や行動を観察し、社会的ルールを学ぶ
- 例えばオス同士の角の使い方や威嚇の仕方
- メスや母親との協調行動
- 幼獣は遊びを通じて体力や俊敏性を養う
5. 独立
- 独立年齢:おおよそ 1〜1.5歳
- 独立後は自分の群れや縄張りを探す
- 体格が十分に成長するまでは、群れに守られて生活
バーバリシープは絶滅危惧種なのか?
バーバリシープは絶滅危惧種に指定されている動物です。ワシントン条約附属書IIに掲載されていますので国際取引が厳しく制限されています。生息地では食用とされたり、毛や皮が利用されることが原因で個体数は激減。さらにアフリカではスポーツ・ハンティングによる乱獲などにより生息数はさらに減っています。エジプトでは1970年代に絶滅したと言われています。
1. 絶滅危惧種としての分類
- IUCNレッドリスト(国際自然保護連合)による評価:
Vulnerable(VU)=絶滅危惧II類(危急種) - 野生個体数は減少傾向にあり、正確な個体数は不明ですが、数千〜1万頭程度と推定
2. 減少の主な原因
- 生息地の破壊・分断
- 北アフリカの山岳や乾燥地が農地化や都市化、道路建設で減少
- 狩猟・密猟
- 肉や角、毛皮を目的とした狩猟が過去に多かった
- 一部地域では今も密猟の脅威
- 家畜との競合
- 群れでの草食生活により、家畜と餌場を競合することがある
- 乾燥地・気候変動の影響
- 水不足や植生の減少で生息環境が厳しくなる
3. 保護の取り組み
- 国際保護:
- CITES(ワシントン条約)附属書IIに登録
- 商業取引は規制されている
- CITES(ワシントン条約)附属書IIに登録
- 地域保護:
- モロッコ、アルジェリア、チュニジアなどで国立公園や保護区に指定
- 飼育下繁殖:
- 動物園や保護施設での繁殖プログラムにより、個体群の維持が行われている
バーバリシープはペットとして飼育可能?
バーバリシープは以上のように絶滅危惧種に指定されているうえにワシントン条約にも掲載されているため国際取引が厳しく制限されています。そのため、飼育することは極めて難しいです。
1. 法律面
- バーバリーシープは絶滅危惧種(IUCN: Vulnerable)
- 国際条約 CITES(ワシントン条約)附属書II により、国際取引は規制されている
- 日本では「特定外来生物」には指定されていませんが、野生動物保護や動物愛護法での規制がある場合も
- 無許可での輸入や飼育は違法となる可能性が高い
2. 飼育面の難しさ
- 大型の草食動物で成獣はオスで最大100 kg程度
- 岩場や広い空間を必要とするため、一般家庭での飼育は不可能
- 群れで生活する社会性があるため、1頭だけではストレスが溜まる
- 鋭い角があり、攻撃性もあるため危険
3. 飼育例
- 動物園や保護施設では飼育・繁殖が行われている
- 家庭で飼われる例はほぼなく、仮に飼育できても倫理的・安全面で問題が大きい
4. 安全な代替案
- 家庭で草食性の動物を楽しむ場合は、小型ヤギやヒツジなどの家畜が現実的
- バーバリーシープの生態や魅力を知るなら:
- 動物園や保護施設で観察
- 自然観察ドキュメンタリーや動画で学ぶ


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