シフゾウはどんな動物?特徴、生態、生息地について解説します。野生のものはすでに絶滅して、現在はすべて動物園で飼育されています。そのため、残念ながら以前はたくさん見ることができた野生の個体群はもういません。しかし厳重に管理されている動物です。
シフゾウとは? 基本ステータスについて
シフゾウは哺乳綱鯨偶蹄目シカ科シフゾウ属に分類される偶蹄類。学名はElaphurus davidianus、英語はPere David’s deer、漢字は四不像。全長は170-200cm、体重は150-200kg。情報の一覧は以下の通り。
| Japanese(和名) | シフゾウ |
| English(英名) | Pere David’s deer |
| scientific name(学名) | Elaphurus davidianus |
| classification(分類) | Mammalia、 Artiodactyla、Cervidae、Elaphurus 哺乳綱、偶蹄目、シカ科、シフゾウ属 |
| IUCN Status(保全状況) | EXTINCT IN THE WILD |
| Length(体長) | 170-200cm |
| Weight(体重) | 150-200kg |
動物分類
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:哺乳綱 Mammalia
- 目:鯨偶蹄目(旧:偶蹄目) Artiodactyla
- 科:シカ科 Cervidae
- 亜科:シカ亜科 Cervinae
- 属:シフゾウ属 Elaphurus
- 種:シフゾウ Elaphurus davidianus
生息地について
シフゾウは中国北部から中部の沼地で生息、分布していたと言われています。
① 本来の自然生息地(歴史的分布)
地理的分布
- 中国東部〜中部
- 黄河・揚子江(長江)流域
- 現在の
江蘇省・安徽省・河南省・湖北省 周辺と推定
環境タイプ
シフゾウは典型的な湿地性シカでした。
- 河川沿いの氾濫原
- 沼沢地・湿原
- 湖沼周辺の草地
- 季節的に水没する低地
👉 一般的な森林性シカとは異なり、
**「水辺で暮らすシカ」**という点が最大の特徴です。
② 生息地適応の特徴
生息地と密接に結びついた形態的特徴があります。
- 広く開いた蹄
→ 泥濘地でも沈みにくい - 長い脚
→ 浅い水域を歩行可能 - 泳ぎが得意
→ 川や湖を横断 - 草本植物中心の食性
→ 水生植物・湿地草本を摂食
これらはすべて、湿地・氾濫原生活への適応です。
③ 野生絶滅に至った生息地の変化
主な要因
- 湿地の農地化
- 河川改修・治水事業
- 過剰な狩猟
- 洪水・戦乱
特に、
- 黄河流域の治水
- 農耕地拡大
により、湿地生態系そのものが消失しました。
👉 19世紀末には、野生個体群は完全に消滅。
④ 皇室保護下での特殊な「生息地」
野生絶滅後も唯一生き残ったのが:
- 北京・南苑(なんえん)皇家狩猟園
- 人工的に維持された湿地環境
- 半野生状態
ここが全現存シフゾウの祖先集団です。
特徴は?どんな感じの生物なのか?
シフゾウは頭部は細長で眼は大型。四肢は長く、蹄も大型。ひづめはウシに、頭はウマに、角はシカに似ているが、それらのどの動物でもないということからこの名前になりました。昔は中国に多くいたと思われますが、絶滅。泳ぎは上手く、肩部まで水に漬かることができます。普段は群れを形成して集団で生活をします。
① 体型
- 体高:約120cm
- 体長:約2m
- がっしりしていて脚が長い
- 背中はやや低く、お尻が高い
👉 森のシカより「水辺を歩く大型草食獣」に近い印象。
② 頭と角(オス)
- 角の生え方が異常に独特
- 分岐が前方に向かって伸びる
- 普通のシカとは逆方向
- 毎年生え替わる
👉 初見だと「角が間違った方向に生えている」ように見える。
③ 尾
- 非常に長い(約50cm)
- 房状の毛がつく
👉 ロバや馬の尾に近く、
「シカらしくない」最大要素。
④ 蹄(ひづめ)
- 幅広く、開きやすい
- 泥や水に沈みにくい構造
👉 明確な湿地適応。

シフゾウの生態は?
シフゾウは草、木の葉、抽水植物などを食べて生活します。繁殖様式は胎生。繁殖期になると、オスは多数のメスとハーレムを形成。妊娠期間は288日で妊娠期間は9ヶ月。1回に1頭産むことができます。生後2年3か月で、性成熟。寿命は20年程度。
① 生活様式(どう暮らしているか)
基本スタイル
- 昼夜両行性(早朝・夕方が最も活発)
- 群れで生活(数頭〜数十頭)
- 水辺中心の行動圏
👉 森林性シカよりも、開けた湿地を歩き回る草食獣に近い。
② 行動生態
移動と行動
- ゆっくり歩くことが多い
- 泥地・浅瀬を積極的に利用
- 泳ぎが非常に得意
- 川や湖を横断可能
- 危険時は走るより水に逃げることも
群れ構造
- 通常は雌と子の群れ
- 成熟オスは繁殖期以外、単独または小群
- 群れ内の攻撃性は低い
③ 食性(何を食べるか)
食べ物
- 完全な草食性
- 主食:
- イネ科植物
- 湿地の草本
- 水生植物
- 季節により:
- 若芽
- 葉
- 根茎
👉 湿地植物に特化した食性。
④ 繁殖生態
繁殖期
- 主に夏(6〜8月)
- オスは角を使って誇示行動
- 激しい殺し合いはほぼない
出産
- 妊娠期間:約9か月
- 出産数:通常1頭
- 子は草地や藪で隠されて育つ
シフゾウの天敵は?
シフゾウは野生がすでに絶滅しており、これといったものはありません。

シフゾウの幼獣について
シフゾウ(四不像/Elaphurus davidianus)の幼獣(子ども)について、
「見た目・行動・育ち方・生存戦略」の順で分かりやすく説明します。
① 幼獣の基本情報
- 出生数:通常1頭(まれに双子)
- 出生時期:初夏〜夏
- 出生体重:およそ 11〜13kg
- 立ち上がり:生後数時間以内に可能
👉 シカ科らしく、早成性の子です。
② 見た目の特徴
体色・模様
- 明るい黄褐色
- 全身に白い斑点(スポット)
- 保護色として機能
- 成長とともに斑点は消失
体型
- 脚が長く、細身
- 頭は小さく、目が大きい
👉 草や湿地の中で非常に目立ちにくい。
③ 行動生態(どう行動するか)
隠蔽行動(ハイディング)
- 生後数週間:
- 母親は離れて採食
- 幼獣は草むらや湿地植生に伏せて待つ
- 動かず、匂いも抑える
👉 天敵対策として極めて重要。
移動開始
- 生後1〜2週間で母に追随
- 群れ行動に徐々に参加
④ 授乳と食性の変化
授乳
- 母乳中心(数か月)
- 母は非常に注意深い
離乳
- 生後 3〜4か月 で固形植物を多く摂取
- 湿地植物を早期から学習
シフゾウは絶滅危惧種なのか?
シフゾウは1865年にヨーロッパに紹介されたときには、野生のものは絶滅していました。以前は中国で生息していたと言われています。シフゾウの群れは、中国の皇帝同治帝が代々所有していました。1900年の義和団の乱で、シフゾウを飼育していた庭園はドイツの軍隊に占拠され、残っていたシフゾウはすべて兵士に射殺されて食べられてしまい、絶滅したのです。その後ヨーロッパで繁殖させたものが増え、繁殖させた動物を野生に戻す計画が進んでいます。現在は5,000頭を超える個体群になっております。
結論(最重要ポイント)
シフゾウは
👉「野生絶滅種(EW:Extinct in the Wild)」
に分類されています。
公式な保全状況
IUCN(国際自然保護連合)の分類
- 区分:EW(Extinct in the Wild/野生絶滅)
- 意味:
- 野生の自然状態では絶滅
- ただし、飼育下・管理下では生存
👉 完全絶滅(EX)ではありません。
なぜ野生絶滅したのか
- 湿地の大規模消失
- 農地化・治水
- 乱獲
- 洪水・戦乱
👉 特に湿地依存型という生態が、環境変化に弱かった。
シフゾウは飼育が可能なのか?
シフゾウは絶滅しており、一般人が飼育することができません。今は動物園などで厳重に管理されています。
① 実際に飼育されているのか?
はい。世界各地で飼育されています。
主な飼育場所
- 中国の自然保護区(再導入施設)
- イギリス(ウォーバーン・アビーなど)
- 欧州・米国の動物園
👉 現存するシフゾウは
すべて人為的飼育・管理下で維持されてきた個体群です。
② なぜ飼育が可能なのか?
生物学的理由
- 性格が温和
- 群れ生活に適応
- 人工環境への順応性が比較的高い
- 草食性で餌の管理がしやすい
👉 シカ類の中では
「飼育向き」な部類。
③ それでも個人飼育が難しい理由
① 法的・保全上の問題
- IUCN:野生絶滅(EW)
- 国際的に保全対象種
- 多くの国で:
- 個人所有禁止
- 繁殖管理は国家・研究機関のみ
② 飼育環境の特殊性
シフゾウは普通の牧場では飼えません。
必要条件:
- 広大な敷地(群れ飼育)
- 湿地・浅水域
- 泥地でも安全な地面
- 水質管理
- フェンス(跳躍力が高い)
👉 ニホンジカ以上に場所とコストがかかる。
③ 群れ前提の動物
- 単独飼育は不可
- 繁殖管理が必須
- 血統管理が重要(遺伝的多様性が低いため)


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