世界の有名のイヌ科のドール(アカオオカミ)はどんな動物?野生の特徴、生態、生息地、飼育について解説します。ドールはカザフスタン、パキスタン、インド、ネパール、インドネシア、ロシア、中国などユーラシア大陸の様々な地域で生息している、とても有名な肉食動物です。
ドール(アカオオカミ)とは? 基本ステータスについて
ドール(アカオオカミ)は哺乳綱食肉目イヌ科ドール属に分類される食肉類。学名はCuon alpinus、英語名はDhole、Asian wild dog、Indian wild dogで漢字は豺。体長は70– 110cm、体重は10 – 20kg、尾長は40-50cm。情報の一覧は以下の通り。アメリカアカオオカミなどの亜種がいます。
| Japanese(和名) | ドール(アカオオカミ) |
| English(英名) | Dhole Asian wild dog Indian wild dog |
| scientific name(学名) | Cuon alpinus |
| classification(分類) | Mammalia、Carnivora、 Canidae、Cuon 哺乳綱、食肉目、イヌ科、ドール属 |
| IUCN Status(保全状況) | ENDANGERED |
| Length(体長) | 70– 110cm |
| Weight(体重) | 10 – 20kg |
分類学的位置づけ
ドールはイヌ科に属する食肉類で、オオカミやイヌに近縁ですが、独自の特徴をもつ種です。
- ドメイン:真核生物(Eukaryota)
- 界:動物界(Animalia)
- 門:脊索動物門(Chordata)
- 亜門:脊椎動物亜門(Vertebrata)
- 綱:哺乳綱(Mammalia)
- 目:食肉目(Carnivora)
- 亜目:イヌ亜目(Caniformia)
- 科:イヌ科(Canidae)
- 属:ドール属(Cuon)
- 種:ドール(Cuon alpinus)
生息地について
野生のドールはカザフスタンを筆頭に、ロシア、中国、東南アジアなどかなり広く分布しています。ヨーロッパやアジアで行動の記録があります。
① 地理的分布(どこに住んでいるか)
ドールはアジアにのみ分布するイヌ科動物です。
主な分布地域
- 南アジア:
インド、ネパール、ブータン、バングラデシュ - 東南アジア:
ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレーシア - 中国南部
- インドネシア:
スマトラ島、ジャワ島
※ かつてはもっと広範囲に分布していましたが、現在は分布が断片化しています。
② 生息環境(どんな場所を好むか)
ドールは環境適応力が高く、多様な森林環境に生息します。
主な生息環境
- 熱帯雨林
- 亜熱帯林
- 落葉広葉樹林
- 針葉樹林
- サバンナ林
- 山岳森林
特に重要なのは、
- 獲物(シカ・イノシシなど)が豊富
- 人為的攪乱が比較的少ない
- 群れで移動できる広さがある
という条件です。
③ 標高範囲
ドールは非常に幅広い標高に適応しています。
- 低地の熱帯林:標高数十m
- 山岳地帯:**4,000m級(ヒマラヤ)**まで確認例あり
➡ 高地では寒冷環境に対応し、低地では高温多湿環境に適応します。
④ 生息地の利用方法(行動との関係)
- 群れで広い行動圏をもつ
→ 数十〜数百km²に及ぶこともある - 特定の巣穴を固定的に使わない
→ 繁殖期のみ岩陰・倒木・他動物の巣穴を利用 - 人里回避傾向
→ 人間活動が活発な地域では姿を消しやすい
特徴は?どんな感じの生物なのか?
ドールは中型のオオカミと同じような風貌。赤褐色や黄褐色の毛色で別名をアカオオカミとも呼ばれることが多いです。雄の方が体は大きい。オオカミに比べてドールの四肢は短く耳の先は丸く、鼻面は太くて短い。ドールは山地や森林、岩場の多い地域など、様々な環境で生活できます。ドールは主に昼間に活動、時には夜間も活動をします。
① 見た目の特徴(外見)
- 体長:90〜110cm
- 体重:10〜20kg(中型犬くらい)
- 体型:細身で脚が長く、走るのに向いた体
- 毛色:
- 赤褐色〜赤茶色(名前の由来)
- 腹部や胸はやや淡色
- 顔つき:
- マズル(口先)が短め
- 丸みのある耳で、キツネとオオカミの中間のような印象
- 尾:
- ふさふさで黒っぽい先端
👉 全体的に「赤いオオカミ風のキツネ顔」という感じです。
② 行動・性格(かなり重要)
とても社会性が高い
- 群れ(クラン)で生活
- 群れの結束が非常に強い
- ケガした仲間や子どもを優先的に世話する
攻撃的というより「協力型」
- 群れ内での争いが少ない
- 上下関係はあるが、オオカミほど厳格ではない
- 鳴き声や体の動きで頻繁にコミュニケーション
③ 鳴き声が独特
ドールは遠吠えをほとんどせず、
- 笛のような高い音
- 甲高いキーキー声
- 短い鳴き声の連続
を使って仲間と連絡を取ります。
👉 森林内で位置を伝えるのに適した音です。
④ 狩りのスタイル(かなり特徴的)
- 群れで持久戦
- 追い詰めて疲れさせる
- シカ・イノシシなど自分たちより大きな獲物も狙う
他のイヌ科との違い
- オオカミ:一撃で喉を狙う
- ドール:複数個体で連続的に攻撃し、確実に仕留める
※ このため「残酷」と誤解されがちですが、自然界では合理的です。

性格はどんな感じ?
ドールは普段は数頭から10頭ほどの群れで生活するためとても社会性が強い動物で協調性もあります。時には群同士が集まって50頭ほどの群れにもなります。獲物を倒すために協力することもあります。
① 基本的な性格
とにかく仲間重視
- 群れの結束が非常に強い
- 食べ物は子ども・弱い個体を優先
- ケガした仲間を置き去りにしない
👉 「個より群れ」を最優先するタイプ。
② 攻撃性は低め
- オオカミより群れ内の争いが少ない
- 無意味なケンカを避ける
- 優位個体でも威圧行動が控えめ
➡ イヌ科の中ではかなり平和的。
③ 慎重で臆病な一面
- 人間を強く避ける
- 開けた場所より森林内を好む
- 危険を感じると即撤退
👉 勇猛というより「用心深い」。
④ 社会性・知能が高い
- 仲間の状態をよく観察する
- 鳴き声・表情・しぐさで頻繁に意思疎通
- 状況に応じて行動を変える柔軟さ
➡ 「空気を読む」能力が高い。
⑤ 子育てにとても協力的
- 群れ全体で子育て
- 親以外の個体も餌を運ぶ
- 子どもを守る意識が強い
👉 理想的な共同保育型。
生態はどんな感じ?
ドールはほとんど肉食性で小動物のほか、群れでクマを倒すこともあります。また、爬虫類や昆虫、果実を食べることもあります。繁殖様式は胎生。インドでは9 – 11月に交尾をします。巣は岩の間などの自然の地形を利用しています。妊娠期間は2か月で1回につき1頭産むことができます。授乳は2か月で、寿命は10年くらい。
① 社会構造(群れの暮らし)
- **群れ(5〜12頭前後)**で生活
※ 多いと20頭以上になることも - 血縁中心のファミリー
- 群れ内の争いが少ない
- 明確なリーダーはいるが、支配は穏やか
👉 とても安定した「協調型社会」。
② 行動圏と生活リズム
- 行動圏:数十〜数百km²
- 主に昼行性〜薄明薄暮性
- 森林内を広く移動しながら生活
- 巣穴は繁殖期のみ使用
③ 食性(何を食べる?)
肉食性が中心
- シカ類
- イノシシ
- ウサギ・齧歯類
- 鳥類(まれ)
狩りの特徴
- 群れで持久的に追い詰める
- 役割分担あり
- 獲物の体力を奪う戦略
※ 植物はほぼ食べません。
④ 繁殖と子育て
- 繁殖期:地域差あり(多くは冬〜春)
- 妊娠期間:約60日
- 1回の出産数:4〜8頭
- 巣穴:岩陰・倒木・他動物の穴
特徴的なのは…
- 群れ全体で子育て
- 成獣が子どもに食物を吐き戻して与える
- 子どもの生存率が高い
⑤ 寿命
- 野生:約10年
- 飼育下:最大15〜16年
天敵はいるのか?
ドールはワシやタカなどが天敵に当たります。

ドール(アカオオカミ)の幼獣について
ドール(アカオオカミ)の幼獣(子ども)は、見た目も行動もとても特徴的で、
成獣になるまでに群れ全体に育てられるのが大きなポイントです。
① 生まれた直後の幼獣
- 出生時期:地域差はあるが、主に冬〜春
- 1腹の数:4〜8頭(多いと10頭近く)
- 体重:約300〜400g
- 目:生後2週間ほどで開眼
- 毛色:
- 黒〜濃い茶色
- 成獣の赤褐色とはまったく違う
👉 見た目は「黒っぽい子犬」に近いです。
② 巣穴での生活(超重要)
- 生後数週間は巣穴から出ない
- 巣穴は岩陰・倒木・他動物の古い穴
- 母親だけでなく群れ全体が防衛
➡ 外敵が多いため、徹底的に守られます。
③ 授乳と食事の変化
授乳期
- 母親の母乳のみ
- 非常に成長が早い
離乳期(生後1.5〜2か月)
- 成獣が肉を吐き戻して与える
- 親以外の個体も給餌に参加
👉 「共同保育」の象徴的行動。
④ 遊びと学習
- 巣穴周辺で活発に遊ぶ
- じゃれ合い・追いかけっこ
- 遊びを通して
- 噛み方
- 体の使い方
- 群れのルール
を学ぶ
⑤ 狩りの練習
- 生後3〜4か月で群れの移動に同行
- いきなり狩りはしない
- まずは観察と追走
- 徐々に役割を持つ
➡ 成獣になるまで半年〜1年かけて学習。
⑥ 生存率と保護
- 幼獣の死亡率は自然界では高い
- 巣穴破壊・感染症が大きな脅威
- 群れの協力で生存率を上げている
ドール(アカオオカミ)は絶滅危惧種なのか?
ドール(アカオオカミ)は絶滅危惧種に指定されています。この原因はすべて人間にあり、生息地の破壊が最も大きな問題で森林地帯の減少により、生息できる個体数がどんどん激減しています。また人間を襲ったり作物を食べることから、害獣としての駆除されることも多く、どんどん激減しています。1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書IIに掲載されてます。
🌍 絶滅危惧の評価
📌 国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、
ドールは 「絶滅危惧(Endangered, EN)」 に分類されています。
これは 世界的に絶滅のリスクが高い状態 を意味します。
- 推定される成熟個体数は2,500頭未満
- ほとんどの地域で個体数が減少傾向にある
という評価がされています。
📉 減少の主な原因
ドールが危惧されている理由は、複数の脅威が重なっているためです。
🐾 1. 生息地の破壊・断片化
森林の伐採・農地化・開発によって、
ドールが暮らせる広い森が大きく失われているという状況があります。
🍖 2. 獲物の減少
シカやイノシシなどの主要な獲物が過剰捕獲や環境劣化で減少しており、
ドールの食物資源が十分でない地域が増えています。
🐕 3. 疾病の伝播
野生のドールは**家畜や飼い犬からの病気(犬ジステンパー等)**に感染しやすく、
これが局所的な個体数減少を引き起こしています。
🤝 4. 人間との衝突
家畜の捕食などが原因で人間に害獣として駆除されることもあると報告されています。
🐺 分布の変化
歴史的にはアジア全域に広く分布していましたが、
現在は分布が断片化し、連続的な生息地は少ないという状況です。
多くの地域で既に姿を消しており、残存するのは限られた森林のパッチのみです。
📜 法的保護
- IUCNレッドリスト:絶滅危惧種(EN)
- CITES附属書II(国際取引規制対象)にも掲載
→ 商業目的の国際取引に制限がかかっています。
ドール(アカオオカミ)は飼育できる?
ドール(アカオオカミ)は絶滅危惧種に指定されていますしワシントン条約にも掲載されており、国際取引も制限されているため、一般人が飼育することは極めて困難です。動物園などで見ましょう。現在は詳細はネットのページの下で見れます。行動に関しての研究も進んでいます。
① 法律的に飼育できるの?
❌ 個人飼育は不可
- ドールは IUCNレッドリスト:絶滅危惧種(EN)
- ワシントン条約(CITES)附属書Ⅱに掲載
→ 国際取引・輸入が厳しく管理されている - 日本では
- 個人がペットとして輸入・飼育することは事実上不可能
⭕ 飼育できるのは?
- 動物園
- 研究機関
- 国の許可を受けた施設のみ
👉 しかも「展示」ではなく、種の保存・研究目的が前提です。
② 生態的に「飼えない」理由
仮に法律を無視したとしても、
ドールはペットとして成り立ちません。
🐺 群れ動物すぎる
- 単独飼育は強いストレス
- 本来は5〜10頭以上で生活
- 人間を「家族の代わり」にできない
🌲 広すぎる行動圏
- 行動圏:数十〜数百km²
- 狭い空間では異常行動が出やすい
🍖 完全な肉食・狩猟本能
- 獲物を追い、噛み、仕留める行動が必要
- 市販フードでは精神的に満たされない
③ 性格的にもペット向きではない
- 人に慣れにくい
- しつけが効かない
- 臆病だが、追い詰められると危険
- 成獣になると突然野生性が強く出る
👉 幼獣でも「大きくなれば完全に野生」。



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