テングザルはどんな動物?特徴、生態、生息地について解説します。名前からしてある程度予想がつくと思いますが、鼻がとても長く、まるで天狗を連想させるサルの仲間です。彼らはじつは絶滅危惧種に指定されております。危機的な状況におかれているのです。
テングザルとは? 基本ステータスについて
テングザルは霊長目オナガザル科テングザル属に分類されるサル。学名はNasalis larvatus、漢字は天狗猿。情報の一覧は以下の通り。全長は60-70cm 、体重は10-20kgです。
| Japanese(和名) | テングザル |
| English(英名) | Long-nosed monkey Proboscis monkey |
| scientific name(学名) | Nasalis larvatus |
| classification(分類) | Mammalia、Primates、 Cercopithecidae、Nasalis 哺乳綱、霊長目、オナガザル科、テングザル属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 60-70cm |
| Weight(体重) | 10-20kg |
科学的分類
- 界:動物界 (Animalia)
- 門:脊索動物門 (Chordata)
- 綱:哺乳綱 (Mammalia)
- 目:霊長目 (Primates)
- 亜目:真猿亜目 (Haplorhini)
- 科:オナガザル科 (Cercopithecidae)
- 属:テングザル属 (Nasalis)
- 種:Nasalis larvatus(テングザル)
生息地について
テングザルはボルネオ島(マレーシア)に分布しています。
1. 地理的分布
- 分布域:東南アジア、ボルネオ島(インドネシア・マレーシア・ブルネイ)固有
- 国別分布:
- インドネシア(カリマンタン地方)
- マレーシア(サバ州、サラワク州)
- ブルネイ
2. 森林環境
- 熱帯雨林の湿地帯や河川沿いの低地林を好む
- マングローブや河口林、湿地林にも生息
- 樹上生活に適した大きな樹木が豊富な場所を選ぶ
3. 行動環境
- 高い木の上で生活し、移動・食事・休息を行う
- 地上にはほとんど降りないが、河川や湿地を渡ることもある
- 森林破壊に弱く、生息地が分断されると個体数に影響
4. 食物との関係
- 果物、葉、花、樹皮を食べるため、食物資源が豊富な樹冠層を中心に生活
- 河川沿いや湿地林は果実や葉が豊富で生息に適する
特徴は?どんな感じの生物なのか?
テングザルは見た目が特徴的な大きな鼻が最大の特徴。オスの鼻は特に大きく10cmになります。毛色は、頭部から肩、背中にかけては栗色や赤褐色。四肢や腹側は淡い灰色。顔は赤で尾の付け根は黒。テングザルはマングローブや森林、湿地林など川の付近に生息しております。日中に活動しほとんど樹上生活しています。樹上での動きは敏捷で枝から枝へと移動が可能です。
1. 体の特徴
- 体型:大型オナガザル類、樹上生活に適応した四肢が長い
- 体長:オス約65〜75 cm、メス約55〜65 cm(尾は約75〜85 cm)
- 体重:オス約16〜24 kg、メス約7〜12 kg
- 尾:長く、樹上でのバランス保持に役立つ
- 毛色:赤褐色〜茶色の長毛、腹部や手足はやや薄い
- 顔:オスは特徴的な大きく突き出た鼻を持つ
- メスは鼻が小さく目立たない
2. 動き・行動
- 完全な樹上生活:枝から枝へ器用に移動
- 長い手足と尾を使い、ぶら下がったりジャンプしたりして移動
- 地上に降りることはほとんどない
3. 食性
- 草食性に近い雑食
- 果物、葉、花、樹皮、種子など
- 時折昆虫なども食べることがある
- 果物や葉の多い樹冠を移動して採食
4. 社会性
- 大きな群れで生活(数十頭〜百頭以上)
- 群れ内で階級や縄張りはあるが、比較的平和的
- 声や身振りでコミュニケーション
5. 見た目の印象
- オスの大きな鼻と赤褐色の毛色が特徴的
- 見た目のインパクトが強く、樹上で長い尾と手足を使って器用に移動するサル

性格はどんな感じなのか?
テングザルは多くのサル類のように社会性がとても強いです。そのため規律を重視しており、他の仲間に危険を知らせることも行います。
1. 穏やかで社交的
- 群れで協調して生活することが多く、比較的平和的
- 大きな群れでの生活により、個体間の協調性が重要
- オス同士や群れ内での争いはあるが、暴力的ではなく主に威嚇や声で解決
2. 警戒心と臆病さ
- 警戒心が強く、人間や天敵には敏感
- 危険を察知すると木の上で素早く移動して回避
- 地上に降りることは少なく、安全な樹上で生活
3. 知能と好奇心
- 知能が高く、環境に適応する能力がある
- 果物や葉を選んで食べる判断力
- 新しい環境や変化に対しては慎重だが、好奇心もある
4. 社会的コミュニケーション
- 声や身振りで仲間と意思疎通
- オスは鼻を使って鳴き声を強調することもある
- 群れ内での順位や縄張りを示すための鳴き声や体の動きが発達
生態はどんな感じなのか?
テングザルは草食性で、植物、マングローブの若葉など、木の葉類を食べて生活をしています。繁殖期は2~11月で妊娠期間は200日以上あります。出産は樹上で行われ1回につき1頭から2頭産むことが可能。20~30年の寿命になります。
1. 生活環境
- 生息地:ボルネオ島の熱帯雨林、特に河川沿いや湿地林、マングローブ
- 樹上生活:木の上で移動・休息・採食を行い、地上にはほとんど降りない
- 行動範囲:群れごとに縄張りを持ち、樹冠を移動して食物資源を探す
2. 食性
- 草食寄りの雑食性
- 果物、葉、花、樹皮、種子などを食べる
- 時折昆虫も捕食することがある
- 果物の豊富な樹冠を中心に採食し、季節によって食物を変える
3. 社会性・群れ構造
- 大規模群れで生活(数十頭〜百頭以上)
- 群れ内で協調して採食、移動、休息
- 群れ内の順位や縄張りは主に声や威嚇行動で示す
- オスは鼻を使った鳴き声で縄張りや存在をアピール
4. 行動パターン
- 昼行性で日中に活動
- 枝から枝へジャンプやぶら下がり移動(樹上生活に適応)
- 危険を察知すると素早く枝上で回避
- 川沿いや湿地では泳ぐこともある
5. 繁殖
- 性成熟:オス約6〜7歳、メス約4〜5歳
- 妊娠期間:約166日(5〜6か月)
- 出産数:通常1頭
- 子育て:母親が抱き、群れ内の協力で子どもを守る
- 幼獣は数か月間母親に依存して成長し、樹上生活や採食方法を学ぶ
天敵はいるのか?
テングザルは普段樹上生活をしているので安全ですが、地上ではトラやヒョウなどが天敵になっています。

テングザルの幼獣について
テングザル(Nasalis larvatus)の幼獣(赤ちゃん)について整理します。樹上生活と群れ社会に完全適応しており、母親と群れの保護下で成長します。
1. 誕生と体の特徴
- 出生体重:約1〜2 kg
- 体長:約35〜45 cm(尾はさらに長い)
- 外見:
- 体毛は淡い茶色〜赤褐色で柔らかい
- オスの鼻は生まれたときは小さく、成長とともに突出する
- 手足が長く、樹上でしっかり抱きつける
2. 母親依存
- 生後数か月間は母親に抱きついて生活
- 授乳期間は約6〜8か月
- 母親の背中や腹にしがみつき、樹上での移動や危険回避を学ぶ
3. 成長と習得
- 移動能力:
- 早期に枝をつかむ力を習得
- 母親に追従して樹冠を移動する訓練
- 食物採取:
- 果物や葉を母親から観察して学ぶ
- 生後数か月で自分で少しずつ食べ始める
- 社会性の学習:
- 群れ内の他個体との関係や順位を観察して理解
- 鳴き声や身振りのコミュニケーションを習得
4. 行動の特徴
- 母親のそばで遊びながら運動能力を鍛える
- 好奇心が旺盛で、枝を渡る練習や小さな遊びを行う
- 危険察知能力も母親から学ぶ
5. 捕食者からの防御
- 幼獣単独では天敵に弱いため、母親と群れの保護が不可欠
- 樹上生活と素早い移動、群れの警戒で生存率を高める
テングザルは絶滅危惧種なのか?
テングザルは絶滅危惧種に指定されております。理由は東南アジアでの土地開発が挙げられます。森林伐採がとても進んでおり、彼らの住める土地がなくなっているので、結果的に天敵に襲われることが増えています。さらに食用や薬用の狩猟も問題。1975年のワシントン条約発効時から掲載されており、国際取引が厳しく制限されています。厳重に管理されています。
1. IUCNによる評価
- 分類:EN(Endangered/絶滅危惧ⅠB類)
- 評価理由:
- 生息地がボルネオ島の一部に限定されている
- 森林伐採や湿地破壊による生息環境の減少
- 狩猟や人間活動による個体数減少
2. 絶滅の脅威
- 森林破壊・湿地開発
- 農地転換、パーム油プランテーション、都市開発で生息域が減少
- 河川沿いや湿地林など特定環境に依存するため影響が大きい
- 狩猟・捕獲
- 伝統的な狩猟や一部地域での捕獲が個体数に影響
- 生息地分断
- 森林分断により群れの移動範囲が制限され、遺伝的多様性も低下
3. 保護状況
- 国立公園や保護区での生息が確認される
- 国際的には CITES(ワシントン条約)附属書I で取引が禁止
- 生息地の保護と違法狩猟の防止が絶滅リスク軽減に不可欠
テングザルはペットとして飼育可能?
テングザルは絶滅危惧種で一般人が飼育することができません。動物園などで鑑賞してイベントなどで案内してもらうことをおすすめします。園内で展示されているオスやメスを観察しましょう。
1. 飼育の難しさ
① 生息環境の特殊性
- ボルネオ島の熱帯雨林、河川沿いや湿地林など特定の樹上環境に依存
- 長い尾と四肢で樹上生活に適応しており、家庭では再現できない
② 高い社会性
- 数十頭〜百頭以上の群れで生活する群れ社会性が強い
- 単独飼育するとストレスで健康障害や行動異常が発生しやすい
③ 食事管理の困難
- 果物、葉、花、樹皮などをバランスよく食べる必要がある
- 家庭で必要な栄養を適切に与えるのは現実的に不可能
④ 健康管理の難しさ
- 樹上生活・広い空間・特定の環境条件が必要
- 野生動物特有の疾患や寄生虫のリスクがある
2. 法律的制限
- 野生動物保護法やCITES(ワシントン条約)附属書Iの対象
- 捕獲・輸入・飼育はほとんどの国で違法
- 日本でも特別な許可なしで飼育は不可
3. 安全上の問題
- 野生個体は人間に慣れておらず、攻撃性やストレス行動が出やすい
- 飼育環境が狭いと、健康障害や行動異常が生じる



コメント