オオヅルはどんな鳥(動物)?特徴、生態、生息地について解説します。ツル科最大種でとても大柄の鳥になります。この鳥はインドから東南アジア、さらにはオーストラリアにまでかなり広く分布しているのですが、実は絶滅危惧種に指定されている動物でもあるのです。
オオヅルとは? 基本ステータスについて
オオヅルはツル目ツル科ツル属に分類される鳥類。漢字では大鶴、学名はGrus antigone。情報の一覧は以下の通り。
| Japanese(和名) | オオヅル |
| English(英名) | Sarus crane |
| scientific name(学名) | Grus antigone |
| classification(分類) | Ave、 Gruiformes、Gruidae、Grus 鳥綱、ツル目、ツル科、ツル属 |
| IUCN Status(保全状況) | CRITICALLY ENDANGERED |
| Length(全長) | 140-156cm |
| Weight(体重) | 3-4kg |
分類について
オオヅルは以下のような亜種が存在します。
- Grus antigone antigone (Linnaeus, 1758)
- Grus antigone sharpei (Blanford, 1895)
- Grus antigone gilliae (Schodde, 1988)
- Grus antigone luzonica (Hachisuka, 1941)
分類学(タクソノミー)
- 界 (Kingdom): Animalia(動物界)
- 門 (Phylum): Chordata(脊索動物門)
- 綱 (Class): Aves(鳥綱)
- 目 (Order): Gruiformes(クイ目・ツル目)
- 科 (Family): Gruidae(ツル科)
- 属 (Genus): Antigone
- 種 (Species): Antigone antigone(オオヅル)
生息地について
オオヅルはインド、フィリピン、マレーシア、オーストラリア、に分布しています。
1. 自然分布(原産地)
- インド亜大陸
- インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール
- 東南アジア
- カンボジア、ベトナム、タイ、ラオス
- オーストラリア北部
- 一部地域に野生個体が確認される
2. 生息環境
- 湿地・沼地・浅い水田を好む
- 開けた草地や湿原でも見られる
- 水辺が必須
- 繁殖や餌場として浅い水域が必要
- 農地との共存
- 稲作地域では、水田で餌を採ることも多い
3. 標高・範囲
- 主に平地〜低山地(標高0〜500 m程度)
- 高地の森林よりも、開けた湿地や農耕地が生息適地
4. 移動・渡り
- 定住型の個体が多い
- 雨季や乾季で餌や水場を求めて局所的に移動することはある
- 長距離渡りはほとんど行わない
特徴は?どんな感じの生物なのか?
オオヅルはツル科最大種で全身は淡灰色の羽毛で被われています。頭頂や眼先は灰緑色で頭から首の上部にかけて皮膚が裸出していて赤色をしています。留鳥で東南アジアから南アジア、オーストラリアに定住します。頸部は首輪状に白い羽毛で被われ、草原、湿原、河川、農耕地に生息しております。
1. 外見・体の特徴
- 体の大きさ
- 体長:約1.5 m
- 翼開長:約2.2 m
- 体重:約6〜8 kg
- 体色
- 全体は灰白色〜淡い灰色
- 頭部と首は赤く羽毛がなく、肌が露出
- 尾羽は黒色
- 脚とくちばし
- 長い脚で水辺や草原を歩く
- くちばしはやや長く、餌を突くのに適している
- 鳴き声
- 遠くまで響く「クルルル…」という独特の鳴き声
- 群れの存在や縄張りを知らせる
💡 見た目の印象:大きく堂々としていて、水辺の開けた場所で目立つ「威厳のある鳥」です。
2. 行動・性格
- 性格
- 臆病で警戒心が強い
- 危険を感じると大きな声で鳴き、群れで飛び逃げる
- 社会性
- 単独よりもカップルや小さな群れで生活
- 餌場では数十羽の群れになることもある
- 飛翔能力
- 大きな翼で力強く飛ぶ
- 長距離渡りはあまりせず、局所的な移動が多い
3. 食性
- 雑食性だが植物性が中心
- 水草、種子、穀物、稲の若芽など
- 時々動物性も摂取
- 小型の昆虫や軟体動物も食べる

生態はどんな感じなのか?
オオヅルは食性は動物食傾向の強い雑食。この鳥は広い湿地や湖沼、湿原にすみ、繁殖する雨季には湿地の中で巣をつくります。インドでは7-10月に2個の卵を産みます。抱卵はオスとメスが交代で行います。抱卵期間は1か月。オオヅルの寿命は、はっきりとわかっていないようです。
1. 生活環境
- 湿地・浅い水田・沼地を中心に生活
- 開けた草地や水田で餌を探すことが多い
- 水辺の存在が必須で、巣作りや餌採取に利用
2. 食性
- 雑食性だが植物性が中心
- 水草、種子、穀物(稲など)
- 芽や若い草も食べる
- 動物性は補助的
- 昆虫や軟体動物、小さな魚を食べることもある
- 餌の探し方はついばみ・突き・引き寄せが中心
3. 社会性
- 単独よりもカップルや小群で行動
- 繁殖期はペアで協力
- 餌場では群れを作ることもある(数十羽程度)
- 群れの中で縄張りや存在を声で知らせる
4. 繁殖行動
- 巣作り:湿地や水田の草地に小さな地上巣を作る
- 繁殖期:地域により異なるが主に雨季にあたる時期
- 卵の数:通常2個
- 親鳥の役割:両親で交代して抱卵し、ヒナが巣立つまで世話
5. 移動・行動パターン
- 基本的には定住型
- 水や食料の状況に応じて局所的に移動
- 長距離渡りはほとんど行わない
- 日中は餌を探し、休息や巣立ちの練習を行う
天敵はいるのか?
オオヅルはこれと言った天敵はいません。

オオヅルのヒナについて
オオヅル(Antigone antigone)のヒナについて詳しく整理します。オオヅルは大型ツルで、ヒナの成長は親鳥の協力と湿地環境に大きく依存します。
1. 誕生と孵化
- 卵の数:通常2個
- 孵化期間:約28〜30日
- 孵化直後の特徴
- 羽毛は淡い灰色や淡褐色
- くちばしは小さく柔らかい
- 完全には飛べない
2. 巣での生活
- 巣の場所:湿地や草地に作った小さな地上巣
- 親鳥の世話
- 両親で交代して卵を温め、孵化後は餌を与える
- ヒナが小さい間は親鳥がヒナを守りながら周囲を警戒
3. 成長過程
- 初期(孵化後〜数週間)
- 羽毛は柔らかく、飛べない
- 水辺や草地で親に付き添い、餌をもらう
- 中期(数週間〜2か月)
- 羽毛が成長し、体がしっかりしてくる
- 親鳥の真似をして餌を突く練習を始める
- 後期(2〜3か月)
- 羽が十分に成長し、短距離飛行が可能になる
- 徐々に親鳥から独立
4. 飛翔・巣立ち
- 飛べるようになる時期:生後約2〜3か月
- 巣立ち
- 最初は親鳥の近くで飛翔
- 安全が確保できると完全に独立
5. 特徴・生態
- 羽毛は成鳥よりも淡く、灰色〜淡褐色
- 親鳥の指導の下で餌の採り方を学ぶ
- 卵やヒナの生存率は環境次第で変動する
オオヅルは絶滅危惧種なのか?
オオヅルはワシントン条約附属書II類に掲載されており、国際取引に制限がかかっています。さらに絶滅危惧種にも指定されています。2009年の調査では、推定個体数が15,000~20,000羽と言われています。生息地の破壊、狩猟や採集が大きな脅威となっており、早急な保護活動を必要としている鳥です。フィリピンの個体群は1960年代後半に絶滅しました。
1. IUCNレッドリストでの評価
- 分類:Vulnerable(VU:絶滅危惧種)
- 理由:生息地の破壊や農地・湿地の減少による個体数減少
2. 絶滅危惧の原因
- 湿地や水田の減少
- 開発や干拓で生息地が縮小
- 水位管理の変化により巣作りや餌場が失われる
- 農薬や汚染
- 農薬で餌の昆虫や水草が減少
- 水質汚染がヒナの生存に影響
- 人間による捕獲や狩猟
- 食用や装飾品目的での捕獲が一部地域で報告される
- 繁殖率の低さ
- 卵は通常2個しか産まれず、ヒナの生存率も環境によって変動
3. 保護状況
- インド、ネパール、バングラデシュなどでは 保護区や湿地保護活動が行われている
- 野生での保護に加え、動物園での 人工繁殖プログラム も実施されている
オオヅルはペットとして飼育可能?
オオヅルは以上のように絶滅危惧種に指定されていますので飼育は極めて困難です。
1. 飼育の難しさ
- 体が大きい
- 成鳥で体長約1.5 m、翼開長約2.2 m
- 家庭のケージや庭ではとても収まらない
- 行動範囲が広い
- 湿地や水田のような開けた場所を好む
- 長時間歩き回るので広大な空間が必要
- 鳴き声が大きい
- 遠くまで響く「クルルル…」という鳴き声
- 住宅地では騒音になる
2. 性格・行動
- 臆病で警戒心が強い
- 危険を感じると飛び立つ
- 群れで生活する性格
- 単独飼育はストレスになる可能性が高い
3. 法律・許可
- オオヅルは 絶滅危惧種(VU) であり、野生動物保護法の対象
- 日本国内で飼育する場合は 特別な許可が必要
- 無許可での飼育や販売は違法
4. 飼育例
- 動物園や保護施設での飼育が現実的
- 必要条件:
- 広い屋外スペースや湿地に似た環境
- 餌:穀物・水草・野菜・昆虫などを管理
- 繁殖期の管理とヒナの保護
- 獣医による健康管理



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