冠羽と赤い頬が特徴の動物、カンムリヅルはどんな鳥?特徴、生態、生息地について紹介解説します。サハラ以南のアフリカの中央部・西部に分布している鳥ですが、とても派手な頭が特徴です。アフリカで広くみられることができるこのツルは実は絶滅危惧種に指定されているのです。
カンムリヅルとは? 基本ステータスについて
カンムリヅルは鳥綱ツル目ツル科カンムリヅル属に分類される鳥類。学名はBalearica pavonina、英名はBlack crowned crane。漢字は冠鶴。体長、全長は100㎝で体重は3.5kg。翼開長は1.9m。情報の一覧は以下の通り。冠や頬が大きな特徴。
| Japanese(和名) | カンムリヅル |
| English(英名) | Black crowned cran |
| scientific name(学名) | Balearica pavonina |
| classification(分類) | Aves、 Gruiformes、 Gruidae、pavonina 鳥綱、ツル目、ツル科、カンムリヅル属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 100cm |
| Weight(体重) | 3.5kg |
生物分類(階級)
- ドメイン:真核生物 Eukaryota
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:ツル目 Gruiformes
- 科:ツル科 Gruidae
- 亜科:カンムリヅル亜科 Balearicinae
- 属:カンムリヅル属 Balearica
生息地について
カンムリヅルはサハラ以南のウガンダなどアフリカの中央部・西部や南部に分布しています。ナイジェリアではすでに絶滅しています。
1. カンムリヅル (Balearica regulorum) — 東部・南部アフリカ
地理的分布
- 東アフリカ:ケニア、ウガンダ、タンザニア
- 南部アフリカ:ジンバブエ、南アフリカ、ボツワナ
生息環境
- サバンナや湿地の近くの草原
- 湖沼や河川の湿地帯が重要な生息地
- 高地や森林の端にも生息することがある
- 木の枝に止まれるため、木のある開けた環境でも生息可能
亜種ごとの特徴
- B. r. regulorum(南部カンムリヅル):南アフリカ中心
- B. r. gibbericeps(東部カンムリヅル):ケニア・タンザニアの草原湿地
2. クロカンムリヅル (Balearica pavonina) — 西部アフリカ
地理的分布
- 西アフリカ:セネガル、ガーナ、ナイジェリア、マリ、ニジェール
- サハラ砂漠の南側、熱帯草原や湿地帯に限定
生息環境
- 河川、湖、沼地などの湿地に依存
- 農耕地の周辺でも観察されることがある
- 森林や高木にも止まることができるため、木が点在する湿地に多い
亜種ごとの特徴
- B. p. pavonina:セネガル〜ガーナ中心
- B. p. ceciliae:ナイジェリア〜チャド中心
3. 生息地の共通ポイント
- 湿地と水源がある草原やサバンナが必須
- 木の枝に止まれるため、他のツルよりも森林に近い環境でも適応可能
- 渡りはしないが、干ばつ期には近隣地域へ移動することもある

特徴は?どんな感じの生物なのか?
カンムリヅルは頭頂は黒く、頭部の後ろ部分に黄色の冠羽があります。ほおの上部は見たところ白い、下部はピンク色で体の色は黒。羽毛や翼の雨覆部分は白色で、初列風切羽根は黒。カンムリヅルは河辺や河川、湿地に生息しています。カンムリヅルは留鳥で定住する傾向があります。ナイジェリアの国鳥に指定されています。
1. 外見の特徴
頭部
- 金色または黒色の冠羽が最大の特徴
- カンムリヅル:明るい金色の冠
- クロカンムリヅル:濃い金色〜黒っぽい冠
- 頬の赤白模様が独特で、個体や種によって違う
- 長く細いくちばし
体
- 体長:約 100〜120 cm
- 体重:約 3〜4 kg
- 灰色や黒色の羽毛が中心
- 翼の先に白い羽があり、飛ぶとコントラストが美しい
脚・足
- 細長い脚で地上を歩く・走るのが得意
- 後趾が発達しており、枝に止まることもできる
2. 行動・生態の特徴
歩行と飛行
- 地上で歩くのが主で、走ることも得意
- 飛ぶことも可能だが、長距離飛行はあまりしない
- 木の枝に止まることができる珍しいツル
食性
- 雑食性:植物の種子・草・果実
- 昆虫、小型爬虫類、両生類も食べることがある
- 水辺の生物も捕食するため、湿地との関係が強い
社会性
- 群れで生活することが多い
- 求愛ダンスが有名:ジャンプ・羽ばたき・頭を振るなど非常に華やか
- 鳴き声は甲高く響く「カーンカーン」という声
繁殖
- 卵は 2〜3個
- 木の上または湿地近くに巣を作る
- 両親で育雛する
生態はどうなっているのか?
カンムリヅルは草や穀物の種子のほか、昆虫やカエルなどの爬虫類を食べて生活しています。繁殖様式は卵生。湿地に巣をつくり2個~3個の卵を産みます。抱卵期間は1か月。寿命は50~60年。
1. 生息環境との関係
- 湿地・草原・サバンナに依存
- 水辺のある開けた草原や湿地を好む
- 木の枝に止まれるので、湿地近くの低木林や林縁でも生息可能
- 樹上能力があるため、他のツルよりも森林に近い環境に適応
- 環境の変化(干ばつや農地開発)に敏感
2. 食性
- 雑食性
- 植物:種子、草、果実
- 動物:昆虫、ミミズ、小型爬虫類、両生類
- 湿地の生物を捕食することが多い
- 食物の多様性が生息域選択に影響
3. 行動パターン
移動
- 長距離の渡りは行わない(非渡り鳥)
- ただし、乾季や干ばつ時には短距離移動することがある
社会性
- 群れで生活することが多い
- 群れは繁殖期以外でも形成される
- 群れでの協調行動が多く、外敵から身を守る
繁殖行動
- 求愛ダンスが非常に華やか
- 跳ねる、羽ばたく、頭を振る
- 鳴き声と動作で異性を引きつける
- 巣は湿地の草地や木の枝上に作る
- 産卵数:2〜3個
- 両親で育雛することが多い
天敵はいるのか?
カンムリヅルはこれといった天敵がいません。

カンムリヅルのヒナについて
では、カンムリヅル (Balearica) の**ヒナ(幼鳥)**について詳しくまとめます。外見や行動、生育環境に焦点を当てます。
1. 産卵と孵化
- 産卵数:1回の繁殖で 2〜3個
- 巣の場所:湿地の草地や低木林、場合によっては枝の上
- 卵の大きさ:約 5〜6 cm、淡い緑〜白色
- 孵化日数:おおよそ 28〜31日
2. ヒナの外見
- 羽毛は柔らかく、全体的に灰色がかった茶色
- 頭頂の冠羽はまだ発達していない
- 体は小さく、足も短いため、最初は飛べない・木に登れない
- 成長するにつれて、冠羽や頬の赤白模様が現れる
3. ヒナの行動
- 親鳥と行動を共にする
- 両親が餌を与え、天敵から守る
- 地上歩行が主で、最初は飛行はできない
- 探索行動や餌取りは親の動きを真似て学習する
4. 成長と飛行能力
- 冠羽の発達:生後数週間で小さな冠羽が生える
- 飛行能力:生後約2〜3か月で初飛行可能
- 群れへの合流:ある程度成長すると、親から離れ、同年齢の幼鳥群や他の群れに合流することもある
5. 生存のポイント
- 天敵に弱く、ワニ、ヘビ、大型鳥類、哺乳類から狙われやすい
- 湿地や草地の隠れ場所が生存に重要
- 両親の保護と群れでの安全確保が、ヒナの生存率を高める
カンムリヅルは絶滅危惧種なのか?
カンムリヅルは絶滅危惧種(レッドリスト)に指定されています。ワシントン条約附属書IIにも掲載されており国際取引が厳しく制限されています。農作物を食害する害鳥とみなされることもあり駆除されるだけでなく頭部や翼などが伝統的に薬用になることから乱獲が進んでいます。推定個体数は28,000〜47,000羽と推定されています。
1. カンムリヅル (Balearica regulorum) — 東・南部アフリカ
- IUCNレッドリスト分類:絶滅危惧(EN:Endangered)
- 主な脅威
- 湿地や草原の開発による生息地の喪失
- 農薬や農地開発による食物環境の悪化
- 密猟やペット取引(特に幼鳥)
- 保全状況
- 国立公園や保護区で保護されている個体群もある
- 生息地の湿地保全が鍵
2. クロカンムリヅル (Balearica pavonina) — 西部アフリカ
- IUCNレッドリスト分類:危急(VU:Vulnerable)
- 主な脅威
- 湿地の減少(農地やダム開発)
- 森林伐採による止まり木の減少
- 狩猟や捕獲
- 生息地は西アフリカの一部に限定されるため、地域的に個体数が少ない
3. 絶滅危惧の背景
- カンムリヅルは湿地と木のある草原に依存しており、環境変化に敏感
- 他のツルより樹上能力があるとはいえ、湿地破壊が生存に直結
- 野生個体は地域によって減少傾向
4. 保全の取り組み
- アフリカ各地での自然保護区の設置
- 生息地保全や湿地再生プロジェクト
- 繁殖プログラム(飼育下での繁殖)
カンムリヅルは飼育できるのか?
カンムリヅルは上記の通り絶滅危惧種なので一般人が飼育することは極めて困難です。動物園などで鑑賞しましょう。ホオジロカンムリヅルなど鑑賞が可能です。
1. 飼育の現状
- 世界中の動物園や保護施設で飼育例があります
- 例:サファリパーク、鳥類園、保護施設
- 飼育下では繁殖にも成功しており、繁殖プログラムの一環として保全に利用
2. 法的・規制面
- カンムリヅルは CITES(ワシントン条約)附属書II に掲載
- 国際取引には 許可証が必須
- 日本で個人が飼育する場合
- 国や都道府県の希少野生動植物種の許可が必要
- 無許可での輸入や飼育は違法
3. 飼育の条件
飼育環境
- 広い敷地が必要(地上歩行が主、飛ぶこともあるため)
- 水辺や湿地の再現が望ましい
- 止まり木や低木を設置するとストレス軽減
- 地面は芝生や土が適しており、コンクリートは避ける
食事
- 雑食性で、動物性・植物性のバランスが必要
- 種子、果物、野菜、昆虫、ミミズなど
- 栄養管理を間違えると健康障害のリスク
社会性
- 群れでの生活を好むため、単独飼育は推奨されない
- 複数羽での飼育が望ましい
4. 飼育の難易度
- 専門知識が必要:食性、繁殖、生態の理解が不可欠
- 個人飼育は非常に難しく、ほとんどが動物園・保護施設レベル
- 繁殖も群れの社会構造が整っていないと成功しにくい



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