セミクジラはどんなクジラ? 特徴、生態、生息地について解説します。セミクジラは大型のクジラの中でどれも体長の3分の1ほどの大きな頭部を持つと言う特徴を持っています。大西洋や太平洋沿岸の温暖な場所に生息するこのクジラについて解説します。
セミクジラとは? 基本ステータスについて
セミクジラはセミクジラ科・セミクジラ属に属するヒゲクジラの1種。学名はEubalaena japonica、漢字は背美鯨、勢美鯨、英語名はNorth Pacific Right Whale。全長は15-17mで体重は45-60tとなります。情報の一覧は以下の通り。頭がとても大きい種でミナミセミクジラ、タイセイヨウセミクジラなどの種がセミクジラ属に属してます。
| Japanese(和名) | セミクジラ |
| English(英名) | North Pacific Right Whale |
| scientific name(学名) | Eubalaena japonica |
| classification(分類) | Mammalia、Artiodactyl、 Balaenidae、Eubalaena 哺乳綱、鯨偶蹄目、セミクジラ科、セミクジラ属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 15-17m |
| Weight(体重) | 45-60t |
分類学的位置づけ(タクソノミー)
| 階級 | 分類 |
|---|---|
| ドメイン | 真核生物 (Eukaryota) |
| 界 | 動物界 (Animalia) |
| 門 | 脊索動物門 (Chordata) |
| 綱 | 哺乳綱 (Mammalia) |
| 目 | 鯨偶蹄目 (Cetartiodactyla) |
| 亜目 | 鯨類亜目 (Cetacea) |
| 科 | ヒゲクジラ科 (Balaenopteridae) |
| 属 | メガプテラ属 (Megaptera) |
| 種 | Megaptera novaeangliae |
生息地について
セミクジラは北太平洋、北大西洋の温帯から南半球の亜寒帯の沿岸などに生息。歴史が長い割には謎が多いです。そのため国際的に科学の面で研究も進んでいます。
1. 地理的分布
- 世界中の温帯・熱帯・寒帯の海域に分布
- 繁殖・出産地:温暖な沿岸海域や群島周辺
- 南半球:オーストラリア東岸、ニュージーランド、南米沿岸
- 北半球:ハワイ、メキシコ西岸など
- 餌場(採食地):冷たい海域、栄養豊富な沿岸・大陸棚
- 南半球:南極周辺の寒冷な海
- 北半球:アラスカ、カナダ東岸など
2. 生息環境の特徴
- 沿岸域と沖合域の両方を利用
- 繁殖期は浅瀬や群島周辺で、子クジラの安全確保
- 採食期はプランクトンや小魚が豊富な沖合の冷水域
- 季節ごとに大規模な移動(渡り)
- 冬:温暖な沿岸で出産・繁殖
- 夏:高緯度の冷水域で採食
3. 移動・渡り
- 典型的な長距離渡り
- 北半球・南半球ともに数千〜一万キロ移動
- 繁殖地と餌場を季節ごとに行き来する
- 渡りは単独または小規模群で行動するが、越冬地では群れが形成される
4. 生息条件の重要性
- 餌の豊富さ(小魚やプランクトン)が生存の鍵
- 水温と浅海域の安全性が繁殖・育児に必須
- 海洋環境の変化(温暖化、漁業活動)に敏感
特徴は?どんな感じの生物なのか?
セミクジラは頭部が大きく、全長の4分の1ほどを占めると言う特徴を持っています。最大2メートルを超す長大なクジラヒゲが生えていることや背びれも持たず、個体ごとに形状が異なるため特殊なクジラの仲間。上顎と下顎にはかさぶた状になった角質層の盛上がりがあります。噴気孔は2個で,左右に離れています。
1. 体格・外見
- 大型ヒゲクジラ
- 体長:成体オス・メス共に 12–16 m
- 体重:約 25–30トン
- 胸ビレが非常に長い
- 体長の約 1/4 に相当
- 水中での操縦性や威嚇・求愛ディスプレイに使用
- 背中に隆起(こぶ)
- 名前の由来「Humpback(背中のこぶ)」
- 体色
- 背中:黒色〜濃灰色
- 腹部:白色
- 胸ビレ・尾びれの裏側は白黒模様で個体識別に使われる
2. 頭部・口
- 頭部に顕著なこぶ状突起(頭の前方に小さなこぶ)
- **ヒゲ板(ひげくじら類特有)**が上顎にあり、プランクトンや小魚をろ過して摂食
- くちばしは比較的短く、丸みがある
3. 行動・生態
採食行動
- エサは小魚やオキアミ、プランクトン
- 独特な「バブルネットフィーディング」
- 水中で円状の泡のカーテンを作り、魚群を閉じ込めて効率的に捕食
泳ぎ方
- 長距離渡りに適応した力強く安定した泳ぎ
- 胸ビレを大きく動かし、水中での方向転換が得意
泳ぎのパフォーマンス
- ジャンプ(ブリーチング)や尾びれ叩き(スラッピング)など派手な行動をする
- 求愛、縄張り、コミュニケーションの手段
4. 鳴き声
- 低周波〜中周波の歌(ソング)
- 特に雄が繁殖期に歌い、メスへのアピールや縄張り表示に使用
- 数分〜数十分のパターンを繰り返す
5. 特殊な特徴
- 胸ビレが体長の1/4と異常に長い
- 背中のこぶと尾びれ裏の模様は個体識別に使える
- 長距離渡り(繁殖地↔採食地)に適応
- バブルネットフィーディングなど協調行動が可能

性格はどんな感じ?
セミクジラ属は、温和で人懐っこい性質を持っているとされており、人間でも扱いやすいと言われています。また好奇心旺盛な一面を持っており、人間と遊んでくれる面もあります。、「地球上で最も優しい生物」と称される事もあります。
1. 社会性
- 基本的に穏やかで非攻撃的な性格
- 成体は単独または**小規模群(母子・仲間同士)**で行動することが多い
- 越冬地では複数の個体が集まる群れを形成
- 仲間とのコミュニケーションは鳴き声(歌)や尾びれ叩きなどで行う
2. 対人・対他生物の反応
- 人間には比較的臆病だが、好奇心を示す個体もいる
- 船や観光ボートの周囲でゆっくり泳ぐこともあるが、接近されると距離をとる
- 捕食者はほとんどいないため、防御的行動は少なめ
3. 採食・遊び行動
- 採食中は協調的で計画的
- 「バブルネットフィーディング」は複数個体で協力して行う
- ジャンプ(ブリーチング)や尾びれ叩き(スラッピング)は遊びやコミュニケーション、求愛行動にも使われる
- 活動的で運動能力が高く、長距離移動にも耐える
生態はどんな感じ?
セミクジラは生息数の少なさもあり、分布など殆どの生態情報が解明されていないです。出産期は冬~春で繁殖場は熱帯あるいは亜熱帯域ではないかと言われています。
1. 生息環境と渡り
- 温暖な沿岸域で繁殖・出産
- ハワイ、メキシコ西岸、オーストラリア沿岸、ニュージーランドなど
- 冷たい栄養豊富な海域で採食
- 南極周辺、アラスカ、カナダ東岸など
- 長距離渡り
- 繁殖地 ↔ 採食地間で数千〜一万キロ移動
- 渡りは単独または小規模群で行動する
2. 採食行動
- 雑食だが小型魚類・オキアミ・プランクトン中心
- 独特のバブルネットフィーディング
- 水中で円状の泡のカーテンを作り、魚群を閉じ込めて効率的に捕食
- 仲間と協力する高度な協調行動
- 採食は主に夏期の高緯度海域で行う
3. 繁殖・子育て
- 繁殖期は温暖な沿岸域で活動
- 妊娠期間:約11〜12か月
- 出産:1頭の子クジラ(稀に双子)
- 子クジラは母親と密接に行動
- 採食は母乳のみで数か月間
- 母子の絆が強く、母親が子クジラの安全を守る
4. 社会性・行動
- 繁殖期は雄が歌(ソング)で求愛・縄張りアピール
- 遊び行動としてブリーチング(ジャンプ)や尾びれ叩きを頻繁に行う
- コミュニケーション、縄張り、求愛など複数の意味がある
- 協調性が高く、集団での採食や社会的行動が発達
天敵はいるのか?
天敵はシャチやサメになります。それ以外は人間が挙げられます。

セミクジラの幼獣について
では、セミクジラ (Megaptera novaeangliae) の幼獣(子クジラ・ヒナ)について詳しく整理します。
1. 出産と初期
- 出産場所:温暖な沿岸域や群島周辺(ハワイ、メキシコ、西オーストラリアなど)
- 出産時期:冬季(繁殖期)
- 産仔数:基本的に 1頭(双子は稀)
- 体長:出生時は約 4–5 m
- 体重:出生時は約 1トン前後
2. 外見
- 背中や胸ビレはまだ成体ほど発達していない
- 体色は濃い灰色〜黒に白い腹部、尾びれや胸ビレの模様は未成熟
- 体表は滑らかで、成長につれて胸ビレが長くなり、背中の隆起(こぶ)が現れる
3. 採食と母乳育ち
- 母乳で育つ
- 母乳は脂肪分が高く、急速に体重増加
- 採食行動は母親の観察・模倣を通じて学ぶ
- 生後数か月は完全に母乳依存
- 授乳期間:約 6–12か月
- 母親は幼獣を保護し、泳ぎ方や呼吸のタイミングを教える
4. 行動・社会性
- 幼獣は母親と密接に行動
- 遊び行動を通じて筋力や泳ぎ方を習得
- ブリーチングや尾びれ叩きの初期行動が見られる
- 他の母子群と交流することもあり、社会性の発達に寄与
5. 成長と自立
- 初年度で体長は 8–10 m に成長
- 胸ビレは徐々に長くなり、尾びれや背中の隆起も発達
- 自立し、採食能力を持つのは 生後1年〜2年頃
- 渡りも母親に従って経験し、次第に独立して行動
セミクジラは絶滅危惧種なのか?
セミクジラは絶滅危惧種に登録、指定されています。現在の生息数、現在だけでなく過去の分布も不明で、謎が多いです。また元々の個体数が少ないため、捕鯨での乱獲が問題視されています。北太平洋では1960年代まで細々と捕獲されたが、現在は商業捕鯨は完全に停止されている状況になります。保護が必要な状態です。
1. IUCNレッドリストによる分類
- 分類:絶滅危惧種(EN:Endangered)
- 理由:
- 過去の商業捕鯨で個体数が大幅に減少
- 渡りや繁殖地の生息環境が変化
2. 個体数・分布の状況
- 世界の総個体数は 約8万頭前後 と推定
- 北半球系群と南半球系群で個体数が異なる
- 南半球(南極海)の個体群は比較的回復傾向
- 北太平洋や北大西洋の個体群はまだ回復途上
- 分布:全世界の温帯・熱帯海域(繁殖地:温暖沿岸、採食地:冷水域)
3. 主な脅威
- 商業捕鯨の歴史的影響
- 20世紀中期まで大規模に捕獲され、個体数が激減
- 船舶との衝突
- 航路近くの沿岸域で衝突事故による死傷
- 漁業との競合・絡まり事故
- 網や漁具に絡まる事故で死亡することがある
- 環境変化・気候変動
- 餌場や繁殖地の水温変化、プランクトン量の変動
セミクジラはペットとして飼育可能?
セミクジラは飼育はできません。そもそも体が大きすぎるため、とても飼育できる生き物ではありません。画像や写真はネットのページからでも確認できます。水族館ではフィギュアとして販売されていることもあります。
1. 法的・保護上の理由
- 絶滅危惧種(IUCN:EN、CITES附属書I)
- 国際取引・捕獲は禁止
- 個人での飼育は法律違反
- 日本や各国でも、野生個体の捕獲・飼育は許可されない
- 保護目的(動物園・研究施設)以外の飼育は不可能
2. 物理的・生態的理由
- 巨大な体格
- 成体:体長12–16 m、体重25–30トン
- 水槽やプールで飼育するのは現実的に不可能
- 渡り鳥のように長距離移動する習性
- 繁殖地 ↔ 採食地で年間数千〜一万キロ移動
- 飼育下では生活史を再現できない
- 採食行動の特殊性
- プランクトンや小魚を大量に摂取
- バブルネットフィーディングのような協調採食行動が必須
3. 飼育施設での事例
- 水族館では展示不可
- 巨大すぎるため、飼育された例はない
- 研究や観察は野生個体のタグ付けや追跡調査で行う
- 飼育施設での人工繁殖・採食再現はほぼ不可能



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