マナヅルはどんな鳥?特徴、生態、生息地について解説します。マナヅルはシベリアや中国などに生息している鳥のなかま。結構体が大きくて強そうな印象がありますが、実は彼らは絶滅危惧種に指定されている危機的な動物でもあるのです。
マナヅルとは? 基本ステータスについて
マナヅルはツル科ツル属に分類される鳥類。漢字では真鶴、真名鶴、学名はGrus vipio、英語名はWhite-necked crane。全長120-150cmで体重は5-6kgあります。情報の一覧は以下の通り。
| Japanese(和名) | マナヅル |
| English(英名) | White-necked crane |
| scientific name(学名) | Grus vipio |
| classification(分類) | Aves、 Gruiformes、 Gruidae、Grus 鳥綱、ツル目、ツル科、ツル属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 120-150cm |
| Weight(体重) | 5-6kg |
生物分類(タクソノミー)
| 階級 | 分類 |
|---|---|
| 界 | 動物界 Animalia |
| 門 | 脊索動物門 Chordata |
| 綱 | 鳥綱 Aves |
| 目 | ツル目 Gruiformes |
| 科 | ツル科 Gruidae |
| 属 | アネイゴネ属 Antigone |
| 種 | マナヅル Antigone vipio |
生息地について
マナヅルは日本、モンゴルの北東部、ロシアのアムール川、中国東北部、朝鮮半島のあたりに分布しています。
1. 生息地の全体像
マナヅルは東アジアに分布する渡り鳥で、
季節によって生息地を大きく変えるツルです。
👉
- 夏:北方で繁殖
- 冬:南方で越冬
という生活スタイルを持っています。
2. 繁殖地(夏の生息地)
主な繁殖地
- 中国東北部
- モンゴル
- ロシア極東(アムール川流域など)
環境の特徴
- 広大な湿原
- 河川沿いの草地
- 湖沼周辺
- 人為的攪乱の少ない開けた場所
👉 捕食者を早く見つけられる見通しの良い湿地を好みます。
3. 越冬地(冬の生息地)
主な越冬地
- 中国南部
- 朝鮮半島
- 日本(特に鹿児島県・出水平野)
日本では、
👉 世界的にも重要な越冬地として知られています。
環境の特徴
- 水田
- 河川敷
- 湿地
- 干潟
※日本では保護活動により、人工給餌地も利用。
4. 日本での生息状況
日本で見られる地域
- 鹿児島県 出水市(出水平野)
- 世界最大級のマナヅル・ナベヅル越冬地
- まれに
- 山口県
- 島根県
- 九州各地
👉 日本では冬鳥として飛来。
5. 渡り(移動ルート)
- 繁殖地 ↔ 越冬地を毎年往復
- 数千kmを移動
- 渡りの途中で
- 河川
- 湖
- 湿地
を中継地として利用
👉 渡りルート全体が生存に重要。

特徴は?どんな感じの生物なのか?
マナヅルは全身は灰色や暗灰色で頭頂から後頸、頸部基部にかけて白。耳孔を被う羽毛(耳羽)は暗灰色。足はピンクや暗い赤色で、雨覆は青味がかった灰色。マナヅルはモンゴル北部などで繁殖し、日本へは越冬のため、冬鳥として飛来するため渡り鳥です。彼らは河川流域の湿原などに生息し、越冬地などでは河原や干潟、湿地、農耕地を好みます。小動物のように集団で動きます。
1. 見た目の特徴(とても分かりやすい)
体の特徴
- 体長:約 120〜130cm
- 翼開長:約 220〜250cm
- 体重:5〜7kg
外見のポイント
- 首が白い(名前の由来)
- 頭頂部に赤い裸出した皮膚
- 体は灰色
- 脚は長く、暗色
👉 ナベヅルより一回り大きく、明るい印象。
2. 全体の雰囲気・印象
- 動きがゆったり
- 姿勢がまっすぐで気品がある
- 群れの中でも落ち着いて行動
👉 日本では「上品で堂々としたツル」という印象が強いです。
3. 性格・気質
基本的な性格
- 穏やか
- 警戒心はあるが過剰ではない
- 無駄な争いを避ける
社会性
- 群れで生活
- つがいの結びつきが非常に強い
- 毎年同じ相手と行動することが多い
👉 家族重視・安定志向タイプ。
4. 行動の特徴
地上での行動
- ゆっくり歩いて採食
- 草や土を嘴でつつく
飛翔
- 力強く大きく羽ばたく
- V字隊列で飛ぶことが多い
鳴き声
- 高く澄んだ「クルルー」という声
- つがいで鳴き交わすことも多い
5. 食性(何を食べる?)
雑食性
- 植物の根・芽
- 穀類(稲)
- 昆虫
- 小型の魚・両生類
👉 自然環境と農地の両方を利用できる。
生態はどうなっているのか?
マナヅルは主に魚類や昆虫、カエル、植物の茎や葉、種子を食べて生活します。繁殖形態は卵生。湿原にスゲ・アシなどを組み合わせた巣を作り、毎年5月に卵を産みます。雌雄交代で抱卵し、飼育下での抱卵日数は1か月。性成熟は2-3年ほど。マナヅルの寿命は45年。
1. 1日の生活リズム
活動時間
- 昼行性
- 日中:採食・移動・群れで休息
- 夜間:水辺や開けた場所で休む
👉 夜は捕食者を避けるため、視界の良い場所を選びます。
2. 食性(何を食べて生きているか)
雑食性(植物寄り)
- 植物の根・地下茎
- 草の芽
- 穀類(稲・麦)
- 昆虫
- ミミズ
- 小型魚類・両生類
👉 季節と場所によって柔軟に食べ物を変えるのが特徴。
3. 採食行動の特徴
- ゆっくり歩きながら嘴で地面をつつく
- 首を伸ばして浅瀬を探る
- 群れで同時に採食することが多い
👉 効率よりも安全重視の行動。
4. 社会構造(群れと家族)
基本構造
- 越冬期:大きな群れ
- 繁殖期:つがい単位
つがい関係
- 一夫一妻
- 結びつきが非常に強い
- 毎年同じ相手と繁殖することが多い
👉 ツル類の中でも家族愛が強い。
5. 繁殖生態
繁殖期
- 春〜夏
巣作り
- 湿原の地面に簡単な巣
- 草やヨシを集めて作る
産卵
- 2個前後
- 両親で抱卵(約30日)
育雛
- ヒナは孵化後すぐ歩ける(早成性)
- 親が強く守る
- 飛べるまで約2〜3か月
👉 ヒナは1羽しか成鳥まで育たないことも多い。
6. 幼鳥の成長と家族行動
- 幼鳥は親と一緒に渡りを行う
- 翌年まで親と行動することもある
- 群れの中でも家族単位で行動
👉 社会性の学習期間が長い。
7. 渡りの生態(非常に重要)
- 数千kmを移動する長距離渡り鳥
- V字編隊で飛行
- 途中の湿地・河川を中継地として利用
👉 渡りルート全体が生存に直結。
天敵はいるのか?
マナヅルはこれといった天敵はいません。

マナヅルのヒナについて
マナヅル(白頸鶴)のヒナについて、
誕生から成長、行動、親との関係までをまとめて解説します。
1. 誕生の様子
- 繁殖期:春〜初夏
- 巣:湿原の地面に草を集めた簡単な巣
- 卵の数:2個前後
- 抱卵期間:約30日
孵化直後のヒナ
- 全身が黄褐色〜茶色の産毛
- 目は開いている
- 孵化してすぐ歩ける(早成性)
👉 生まれた瞬間から「自分で動ける鳥」です。
2. 見た目の特徴(ヒナらしさ)
- ふわふわの産毛
- 体は小さいが脚が非常に長い
- 成鳥のような白い首や赤い頭はまだない
- 全体的に地味な色(保護色)
👉 湿地に溶け込むカモフラージュ色。
3. 行動と性格
行動
- 親の後をぴったりついて歩く
- 水辺や草地で採食を真似る
- 危険時はしゃがんでじっとする
性格
- 好奇心はあるが慎重
- 群れより家族単位で行動
👉 親の行動を観察しながら学習。
4. 親との関係(非常に重要)
- 両親が常にそばで保護
- 外敵が近づくと
- 親が威嚇
- ヒナは隠れる
- 食べ物は
- 親が掘り出したものを自分で食べる
(※吐き戻しはしない)
- 親が掘り出したものを自分で食べる
👉 強い家族行動が特徴。
5. 成長の流れ
生後数週間
- 移動距離が伸びる
- 食べ物の種類が増える
生後2〜3か月
- 体が急成長
- 羽毛が生えそろう
- 飛翔可能になる
生後半年以降
- 見た目は幼鳥に
- 親と一緒に初めての渡り
6. 兄弟関係の特徴
- 2羽孵っても
- 最終的に1羽しか育たないことが多い
- 食物不足や体力差が原因
👉 厳しい自然環境での生存戦略。
7. 天敵と危険
自然の天敵
- キツネ
- タカ・ワシ類
人為的危険
- 湿地の減少
- 人の接近・攪乱
- 家畜・農業機械
👉 ヒナ期が最も死亡率が高い。
マナヅルは絶滅危惧種なのか?
マナヅルは絶滅危惧種(レッドリスト)に指定されています。ワシントン条約附属書Iにも掲載されており国際取引が厳しく制限されています。繁殖地のロシアや中国では開発や破壊による生息地の乾燥化により適応できない環境になっています。さらに電線による事故死や密猟により乱獲もされており、個体数は激減しています。日本では環境省でマナヅルがやってくる鹿児島県の出水平野の地域が1952年に国の特別天然記念物に、1987年には出水・高尾野鳥獣保護区として国の自然保護区に指定しています。
🦩 国際的な評価(IUCNレッドリスト)
- IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト評価:
Vulnerable(VU:絶滅危惧 II 類)
→ 「将来的に絶滅の危険が高まっている」種として評価されています
👉 この評価は、世界の推定個体数が数千羽程度と少なく、個体数が減少していることに基づいています。
🏞 日本の評価
- 環境省レッドリストでも
「絶滅危惧 II 類(VU)」
とされています。
これは、国内でも個体数や生息地が限られていることから評価されています。
📉 減少理由(なぜ絶滅危惧なのか)
主な原因として以下のような点が挙げられています:
✔ 生息地の喪失
- 湿地や草地の開発・干拓による生息地減少
- 気候変動による湿地の乾燥化など
➡ マナヅルの巣や採食地が減っていることが報告されています。
✔ 個体数の少なさ
- 世界全体の個体数は数千羽(数千〜7,000羽前後)程度という推定があり、
分布も限定的です。
✔ その他の脅威
- 電線などへの衝突事故
- 密猟等の人為的影響
➡ 生息地の保全が十分でない地域では継続的な減少要因になっています。
🛡 保護措置・法的地位
- ワシントン条約(CITES)附属書 I
→ 国際取引が厳しく制限されています。 - 種の保存法(日本)
→ 国際希少野生動植物種として保護の対象。 - 文化財保護法(日本)
→ ツル類およびその渡来地が特別天然記念物に指定。
これらの措置は、個体数の減少を抑え、回復を目指すための国際的・国内的な保護法制です。
マナヅルは飼育できるのか?
マナヅルは渡り鳥で定住しない傾向にあるため、飼育することは極めて困難です。絶滅危惧の類で国際取引が厳しく制限されていますので入手は困難です。動物園ではナベヅル、タンチョウやカナダヅルなど合わせて見れますので、HPのサイトマップにアクセスしてみてみましょう。
1. 法律的に飼育できるのか?
🇯🇵 日本の場合
飼育は原則禁止です。
マナヅルは以下に該当します:
- 環境省レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類
- 種の保存法
→「国際希少野生動植物種」 - ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰ
- 特別天然記念物(ツル類・渡来地)
👉
✔ 捕獲・飼育・譲渡・売買は原則違法
✔ 例外は
- 動物園
- 研究機関
- 保護増殖事業
など、国の厳格な許可を受けた施設のみ
2. 仮に法律がなかったとしても、飼育は不可能に近い
① 野生性が非常に強い
- 人に懐く鳥ではない
- 強い警戒心
- ストレスに極端に弱い
👉 家庭環境では確実に心身を壊す。
② 行動範囲が広すぎる
- 本来は
- 湿地
- 水田
- 広大な草地
を歩き回って生活
- 長距離を飛ぶ渡り鳥
👉 ケージ・庭・個人施設では行動欲求を満たせない。
③ 社会性・つがい関係が特殊
- 一夫一妻
- 強いペア結合
- 家族単位で行動
👉 単独飼育は深刻なストレス。
④ 食性・環境管理が難しすぎる
- 自然では
- 地下茎
- 小動物
- 季節の植物
を自分で採食
- 人工飼料だけでは不十分



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