テナガザルはどんな動物?特徴、生態、生息地について解説します。動物公園でシロテテナガザルなど紹介されていますがこの種族は主に東アジアから東南アジアに分布しています。名前の通りですが、前肢の長さが特徴的ですが、実はこの種族の亜種は絶滅危惧種に指定されている動物でもあります。
テナガザルとは? 基本ステータスについて
テナガザルは霊長目テナガザル科に属するサルのなかま。学名はHylobatidae。亜種によって大きさは違いがありますが、全長は40-60cm、体重は4-6kgくらいのものが多いです。情報の一覧は以下の通り。図鑑でも見れる動物ですから時間があれば見てみましょう。
| Japanese(和名) | テナガザル |
| English(英名) | Gibbon |
| scientific name(学名) | Hylobatidae |
| classification(分類) | Mammalia、Primate、 Hylobatidae 哺乳綱、霊長目、テナガザル科 |
| IUCN Status(保全状況) | ENDANGERED |
| Length(体長) | 40~60cm |
| Weight(体重) | 4~6kg |
分類について
テナガザルには多数の亜種が存在します。Wikipediaからの引用です。フーロックテナガザル属 Hoolock、テナガザル属 Hylobates、クロテナガザル属 Nomascus、フクロテナガザル属 Symphalangusから構成されています。シロテテナガザルなど熱帯を好むサルが多いです。
- Hoolock hoolock ニシフーロックテナガザル Western hoolock gibbon
- Hoolock leuconedys ヒガシフーロックテナガザル Eastern hoolock gibbon
- Hylobates agilis アジルテナガザル Agile gibbon
- Hylobates albibarbis ボルネオシロヒゲテナガザル Bornean white-bearded gibbon
- Hylobates klossii クロステナガザル Kloss’s gibbon
- Hylobates lar シロテテナガザル White-handed gibbon
- Hylobates moloch ワウワウテナガザル Silvery gibbon
- Hylobates muelleri ミュラーテナガザル Müller’s Bornean gibbon[2]
- Hylobates pileatus ボウシテナガザル Pileated gibbon
- Nomascus concolor カンムリテナガザル Crested gibbon
- Nomascus gabriellae キホオテナガザル Red-cheeked gibbon
- Nomascus hainanus ハイナンテナガザル Hainan gibbon
- Nomascus leucogenys キタホオジロテナガザル Northern white-cheeked gibbon
- Nomascus nasutus カオヴィットカンムリテナガザル Cao-vit crested gibbon
- Nomascus siki ミナミホオジロテナガザル Southern white-cheeked gibbon
- Symphalangus syndactylus フクロテナガザル Siamang
生息地について
野生の生息地は中国など東アジアから東南アジア(インドネシア、マレー半島、マレーシア、ミャンマー、タイ)のあたりに分布しています。
1. 地理的分布
テナガザルは 東南アジアの熱帯雨林に生息する霊長類です。主な分布地域は以下の通りです:
- インドシナ半島:タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム
- マレー半島:マレーシア半島、シンガポール
- インドネシア:スマトラ島、ボルネオ島(カリマンタン)、ジャワ島、スラウェシ島
- その他の島嶼:バリ島やその他小規模の島々
2. 生息環境
- 熱帯雨林の樹冠層(森林の上部)を主な生活域とする
- 密集した木々とつる植物が多い森林を好む
- 樹上で生活するため、地面にはほとんど降りない
- 標高は低地から中山岳地帯まで(おおよそ0〜2000 m程度)
3. 行動と生息地の関係
- 完全な 樹上生活(アカテナガザルなどは特に樹冠層中心)
- 長い腕を使って木々をぶら下がりながら移動(ブラキエーション)
- 果実や葉、花、昆虫を求めて森林内を広く移動する
- 縄張り意識が強く、森の中で縄張りを守るために声や動きでコミュニケーション
特徴は?どんな感じの生物なのか?
テナガザルは最大の持ち味、特徴と言えるのが前肢の長さ。現生ヒト上科の中では小型で前肢は後肢の1.7倍ほど長いと言う特徴があります。テナガザルは熱帯雨林などを好み、木の上で生活をします。テナガザルは歌を歌うことで知られていてカップルのオスとメスが交互に叫びあいながら歌います。他の群れに対してなわばりを主張する意味もあります。
1. 体の特徴
- 体型:細身で軽快、四肢が非常に長い
- 腕の長さ:体長の約 1.5〜2倍 の長さがあり、ぶら下がり移動(ブラキエーション)に最適
- 体重:約 4〜12 kg(種類によって差あり)
- 体長:約 40〜70 cm(尾はない)
- 毛色:種によって異なる
- 白黒、黒、茶色、淡黄色など多様
- 顔は毛が少なく、表情がよくわかる
2. 四肢・移動の特徴
- 長い腕:木の枝につかまりぶら下がるのが得意
- 脚は比較的短く、地面での移動よりも樹上移動に適応
- 尾がない:尾ではなく腕でバランスを取り、ぶら下がって移動
3. 食性
- 主に果実食(フルーツ)
- 葉、花、芽、昆虫も少量摂取
- 果実が豊富な樹冠層を移動して採食
4. 行動・生活
- 完全樹上生活
- 長い腕を使って木々の間をスイング(ブラキエーション)
- 森林の上層部で生活し、地面にはほとんど降りない
- 1夫1婦の家族群で生活することが多い

性格はどんな感じなのか?
テナガザルは大人になればなるほど警戒心が強くなります。 また社会性を重んじる動物で規律を重視します。そのため単独よりも家族などグループで生活や移動をします。
1. 活発で器用
- 長い腕を使って木々を自在に移動するため、非常に 運動能力が高い
- 樹上で跳んだりぶら下がったりするのが得意で、遊び好きな一面もある
2. 臆病で警戒心が強い
- 野生では 人間や捕食者に対して非常に警戒心が強い
- 危険を察知するとすぐに木の上や枝に隠れる
3. 社会性・縄張り意識
- 1夫1婦の 家族単位(ペアや親子) で生活することが多い
- 鳴き声や動きで縄張りを主張
- 特に 朝や夕方に「デュエットコール」と呼ばれる鳴き声でコミュニケーション
- 群れの外の個体に対しては攻撃的になることもある
4. 穏やかだが、縄張り意識が強い
- 家族内では 穏やかで協調的
- 縄張りやペア関係に関しては 敏感で攻撃的になる場合もある
生態はどうなっているのか?
テナガザルは主に果実、木の葉や花などの他、昆虫なども食べます。特定の繁殖期は見られず、妊娠期間7ヵ月あります。一夫一婦で、1回につき1頭産むことができます。雄も育児を助け、子どもは2年程度は授乳期間があります。寿命は25年から40年ほどで、飼育下ほど長生きします。
1. 生活環境
- 完全樹上生活(樹冠層)
- 木の枝をつたって移動するブラキエーションが主
- 地面に降りることはほとんどない
- 生息域:東南アジアの熱帯雨林、低地から標高2000 m程度まで
2. 食性
- 主に果実食(フルーツ)
- 葉、芽、花、樹皮、昆虫も少量摂取
- 森林の上層部で食料を探しながら移動
- 餌を探す範囲は比較的広く、1日の行動範囲は 1〜2 km程度
3. 繁殖・子育て
- 繁殖:年に1回程度(地域や種によって異なる)
- 妊娠期間:約 7か月
- 出産数:通常 1頭
- 母親は子どもを1〜2年かけて育て、樹上で移動や食事を学ばせる
- ペアは長期間にわたり生活し、親子関係が強い
4. 社会構造
- 家族単位(ペア+子ども) で生活
- 鳴き声で縄張りやペア関係を維持
- 特に朝や夕方にペアでデュエットすることが多い
- 他の個体との接触は最小限で、縄張りを守る
5. 移動と活動
- 枝をつたってスイングしながら移動(ブラキエーション)
- 活動は 昼行性
- 果実の分布に応じて日々移動範囲を変える
- 森林破壊や人間の活動に敏感で、警戒心が強い
天敵はいるのか?
天敵はテナガザル 天敵トラ、ヒョウ、ウンピョウ、アジアゴールデンキャット、ドールがいるため、敵に常に警戒する必要があります。

テナガザルの幼獣について
テナガザル(Hylobatidae)の 幼獣(赤ちゃん・子ども)について 詳しく整理します。
1. 出生と体の大きさ
- 出産数:通常 1頭
- 体重:出生時は約 400〜600 g(種によって差あり)
- 体長:出生時は約 30〜40 cm
- 毛は薄く、色は淡い茶色や灰色で成獣ほどの色彩はまだない
- 目は大きく、母親にしっかり抱きつくように発達
2. 成長
- 授乳期間:母乳で約 6〜12か月
- 幼獣は母親の背中や胸に抱かれ、樹上での移動や生活を学ぶ
- 自立:1歳前後で枝渡りや食事をある程度自分で行える
- 性成熟:3〜5年で成熟、種類や環境によって異なる
3. 行動
- 母親や家族のペアに密着して生活
- 樹上での移動方法(ブラキエーション)を学ぶ
- 果実や葉の採食も母親の真似をして覚える
- 遊び好きで、枝から枝へジャンプする練習をする
4. 性格・習性
- 幼獣は 好奇心旺盛で遊び好き
- しかし、警戒心も強く危険を感じるとすぐ母親に抱きつく
- 母親やペアとの信頼関係を通して社会性を学ぶ
5. 注意点(野生での幼獣の危険)
- 落下事故や捕食者(大型猛禽類など)のリスクがある
- 森林破壊や人間の接近により生存率が低下することもある
テナガザルは絶滅危惧種なのか?
テナガザルは亜種の中にはすでに絶滅危惧種に指定されている種族がいます。大規模な森林伐採のため、生息地は急激に減少している個体が多いです。とくに東南アジアは開発が急激に進んでいるため、生息地の破壊はかなり深刻です。ワシントン条約でも掲載されている種がいます。
1. 保全状況(IUCNレッドリスト)
- テナガザル科の各種は 多くが絶滅危惧種(Endangered: EN)や準絶滅危惧(Vulnerable: VU) に分類
- 例:
- アカテナガザル(Hylobates agilis):VU(準絶滅危惧)
- クロテナガザル(Hylobates klossii):EN(絶滅危惧)
- シロテテナガザル(Hylobates lar):EN(絶滅危惧)
2. 絶滅危機の原因
- 森林破壊
- 熱帯雨林の伐採、農地開発、プランテーション化
- 生息地が細切れになり個体群が孤立
- 密猟・ペット取引
- 幼獣がペットや観賞用に捕獲されることがある
- 人間活動との衝突
- 道路建設や人の接近によるストレス
- 食料不足や天敵リスクの増加
3. 保護活動
- 国立公園・保護区での生息地保護
- 森林再生プロジェクト
- 違法捕獲やペット取引の規制
テナガザルはペットとして飼育できる?
テナガザルは亜種の中には絶滅危惧種に指定されているため、かなり飼育が厳しい状態にあります。動物園やイベントなどの案内で鑑賞することをおすすめします。
1. 法律的に不可
国際的規制
- テナガザルは ワシントン条約(CITES)附属書IまたはII に掲載
→ 国際取引は原則禁止または厳重管理
日本の場合
- 種の保存法・動物愛護管理法の対象
- 個人がペット目的で飼育することは 事実上不可能
- 動物園・研究機関など、特別な許可を受けた施設のみ 飼育可能
➡ 違法に飼育・取引すると 罰則の対象 になります。
2. 生態的にペット飼育は不可能
- 完全な樹上生活で、広大な立体空間が必要
- 1日に長距離を移動し、強い運動欲求がある
- 高度に発達した知能と社会性を持つ
- 狭い環境では 強いストレス・自傷行為・攻撃性 が出やすい
3. 性格・行動面の問題
- 成獣になると 力が非常に強い
- 縄張り意識が強く、噛みつき事故の危険あり
- 大きな鳴き声(デュエットコール)は住宅環境では深刻な問題
4. 倫理的問題
- ペット目的の取引では
- 親が殺され、幼獣だけが捕獲される ことが多い
- 絶滅危惧種の個体数減少に直結するため、国際的に問題視されている



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